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【明日への扉】秀衡塗 塗師 〜 笑顔になれる漆器を 〜

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今からおよそ900年前のこと、岩手県平泉の地に「北の王者」と呼ばれ、絶大な力を持った一族がいた。奥州藤原氏である。中でも最も力を持っていた3代目当主の藤原秀衡(ふじわらのひでひら)は、京から漆や金工芸の職人たちを呼び寄せ、毛越寺や中尊寺金色堂など多くの寺院を建立した。

この職人たちの技術が結集した伝統工芸品が、「秀衡塗」だ。



美しい光沢を放つ黒漆。鮮やかな朱漆で描かれた、雲形模様の源氏雲。さらには有職文様(ゆうそくもんよう)と呼ばれる菱形の金箔が重ねられ、きらびやかさを演出している。どんな料理にも華を添えてくれる、豪華絢爛な漆器だ。

かつて岩手県内で6軒を数えた秀衡塗の工房は、現在2軒のみとなってしまっている。そのうちの1軒、岩手県一関市にある丸三漆器では、5代に渡り様々な漆器と秀衡塗を作り続けてきた。この伝統を絶やすまいと、家族と親族で力を合わせて秀衡塗を守り続けているのが、青栁匠郎(あおやぎ たくお)さん、36歳だ。



4代目の次男として生まれた匠郎さん。秀衡塗への憧れを感じたきっかけは、父の働く姿だったという。「伝統工芸士ですごいな、とは小さい頃から思っていました」と話す。

しかし、大学卒業後は東京や名古屋で会社員として働いた。そんな匠郎さんがもう一度秀衡塗を見つめ直すことができたのは、2歳上の兄・真さんの存在だった。

「兄と仕事をしたいっていうのが強くなって、兄と一緒に家業を継いだら楽しいだろうなと思って帰ってきました」と匠郎さんは言う。

そして、現在丸三漆器の5代目として経営や商品開発を担っている真さんは、「兄弟でやるっていうのはとても理想的なことだなと思っていて、弟には感謝しています」と話す。「言いたいことを言いながらものづくりをできるっていうのが一番の強みですね」。

匠郎さんはまず漆塗りの基礎を学ぶために、岩手県内にある安代漆工技術研修センターで2年間の研修を積んだ。その後丸三漆器の工房で塗師(ぬし)として働き始めて、今年で5年目になる。



秀衡塗は木地・下地作りに始まり、下塗り・中塗り・上塗り・加飾などいくつもの工程を経て、完成するまでにおよそ2ヶ月かかる。

塗りの最初の工程である下塗りを担当するのは、匠郎さんの父であり、秀衡塗の伝統工芸士である青栁一郎さんだ。下塗りを終えた器は匠郎さんの受け持つ中塗りへと回され、さらに漆が塗り重ねられる。同じ職人として共に働く息子について、父はーー。

「基本がもうちょっとならなくてはいけないのかなと思います」としながらも、「我々職人の仕事は頭で覚えるのではなく、体で覚える感性のものだから、ある程度覚えてからが本当に面白い」と今後の成長を楽しみにしているようだ。なにより、

「まさか兄弟でやるとはぜんぜん想像もしていなかった。ありがたいね、やっぱり」と息子たちへの感謝の気持ちを述べている。



実は、一郎さんにもまた、同じく伝統工芸士である弟・青柳三郎さんと共に秀衡塗を40年以上作り続けてきた経緯がある。

親子共に兄弟同士で支え合い、守ってきた秀衡塗の伝統。さらに、工房の事務職を担う匠郎さんの妻・青栁奈津子さん、そして漆絵師として秀衡塗に加飾を施す匠郎さんの叔母であり三郎さんの妻・青柳ひで子さんに支えられ、職人として更なる高みを目指している匠郎さんの奮闘ぶりを、ぜひご覧いただきたい。


続きは、ディスカバリーチャンネル放送から。


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Text by Discovery編集部

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