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【明日への扉】津軽塗 塗師 〜 じょっぱりが生んだ伝統と美 〜

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青森県西部の津軽地方で誕生した津軽塗は、我が国にあまたある漆器産地のうち最も北で生み出される伝統工芸品だ。



艶やかな表面に浮かび上がった不思議な模様には、一つとして同じ形はない。赤と緑、そして金色の重なりが見る者を強くひきつける。


津軽塗の始まりは江戸時代にまでさかのぼる。弘前藩の4代藩主・津軽信政が、産業育成のために若狭塗りの塗師(ぬし)を津軽に招いたのが津軽塗の元になったという。職人たちは努力を重ね、やがて津軽塗は将軍や朝廷にも献上される特産品となった。


津軽の人はよく「じょっぱり」、すなわち頑固だと言われるそうだ。図らずもその頑固な気質が切磋琢磨を生んだのだろうか。他の地域にはないもの、自分たちしか作れないものを追求していった結果、津軽の職人たちは「研ぎ出し変わり塗り」という津軽塗独自の技を生み出した。



塗り重ねられた漆を丁寧に研磨することで、漆の奥から美しい模様を浮かび上がらせる研ぎ出し変わり塗りには、主に4つの技法がある。


漆器全体に広がる小さな丸が特徴の七々子塗(ななこぬり)は、乾く前の漆の上に菜種をまき、取り除いた後に色漆を塗って研ぐことで作られる。紋紗塗(もんしゃぬり)は絵や文様を描いた後、漆に炭粉をまいて研ぎ出した塗りだ。錦塗(にしきぬり)は七々子塗を基本に色漆や錫の粉を使って研ぎだした技法で、時間もかかるが華やかで豪華絢爛さを持つ。



そして津軽塗の代表ともいえるのが唐塗(からぬり)だ。塗り重ねた漆を研ぐことによって、複雑な模様を浮かび上がらせる。



津軽塗の歴史を受け継ぎ、さらに飛躍させようと研鑽を続けているのが、津軽塗・塗師の小林正知(こばやし まさかず)さん、36歳だ。現在津軽塗の工房と販売を手掛ける小林漆器で働く正知さんは、職人だった初代から数えて6代目になる。


津軽塗の魅力は「カラフルで、色の組み合わせひとつでまったく別なものに仕上がる」ところだと話してくれた正知さん。その表現方法は「無限大」だそうだ。


今でこそ津軽塗の魅力を語る正知さんだが、子供の頃は家業について全く興味がなかったという。学校を卒業後は、東京で就職した。しかし、働き始めて3年目のある日、大きな転機が訪れた。5代目である父親から、地元で津軽塗の研修生を募集していると聞いたのだ。


津軽塗の研修所は2009年から始まり、当時研修生の募集は3年半に一度だけだった。



ここで10代から50代まで津軽塗を志す研修生たちを指導しているのが、津軽塗・伝統工芸士の今年人(こん としひと)さんだ。


正知さんも今先生に津軽塗を教わり、家業を継ぐことを決意した。そして3年半の研修を経て塗師として働き始めた。





津軽塗には、模様をつける工程、色漆を塗り重ねる工程、研いで模様を出す工程など、完成までに箸であれば34工程、お椀やお重であればだいたい50工程もあるそうだ。


作る人によって「同じ道具でもまったく違う模様になる」と話す正知さん。それが面白いともいう。


今年1月から工房の6代目を継ぎ「津軽塗を産業として復活させたい」と語る正知さん。そんな正知さんの唐塗りのお椀作りを追った。



続きは、ディスカバリーチャンネル放送から。



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Text by Discovery編集部

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