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【明日への扉】石州和紙職人 ~ 石見の伝統を支える ~

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日本海に面した島根県西部のまち、浜田市三隅町。荒々しい海と山との間に挟まれたこの辺りは石見(いわみ)と呼ばれ、古くから紙づくりが行われてきた。それが、今回ご紹介する伝統工芸品・石州半紙(せきしゅうばんし)だ。

石州半紙の特徴は「極めて強靭」なこと。その強靭さを買われ、国宝の屏風・襖絵・障子などの文化財の修復に使われており、大英博物館やボストン美術館など海外からの発注もある。また、石州半紙は墨が滲みにくく丈夫なため、書家や日本画家に根強い人気があるという。


この石州半紙と深い関わりがある石見の伝統芸能が、石見神楽(いわみかぐら)だ。


日本神話を題材に、哀愁あふれる笛の音と太鼓囃子に合わせ、豪華絢爛な衣裳と表情豊かな面をつけて舞う。神楽を舞う団体は130を超え、現在でも週に1度は舞いを見ることができる、地域に根ざした伝統芸能だ。


石見神楽の面、そして大蛇(おろち)の胴体には、石見の石州半紙が使われている。和紙の中でも類をみない強度が、神楽の激しい舞を可能にし、石見神楽を発展させてきた。



石見神楽にとって欠かせない石州半紙だが、明治時代には6千以上あった製造業者も、現在は浜田市の三隅町にわずか4軒を残すのみだ。その一つ、西田和紙工房に、伝統的な石州半紙の製法を受け継ぐ若者がいる。



菊地悠(きくち はるか)さん、27歳。地元出身ではなく、神奈川県からこの地へやってきた。


幼い頃からものづくりに関わりたいと思っていた悠さんは、高校時代に和紙作りに興味を持ち、和紙作りの専攻がある京都の専門学校に進学した。そこで初めて手漉き和紙に触れ、和紙作りを一生の仕事にしたいと決めたそうだ。


その後、石州和紙の研修生を募集していることを知り、初めて浜田市を訪れた。現在は研修を終え、一人前の職人として和紙作りを行なっている。



石州半紙の原料は、地元産の楮(こうぞ)だ。石州和紙の中でも楮のみを用いる石州半紙は、「日本の手漉き和紙技術」としてユネスコの無形文化遺産にも登録されている。


石州半紙の強靭さは、楮の甘皮を削らず、繊維をたくさん残すことによって生まれる。さらに、一般的な和紙作りでは紙漉きに使う「簀桁(すげた)」を上下左右に揺らして材料を均一にするが、石州半紙は縦方向のみ。そうすることで楮の繊維が一方向に流れ、紙自体の強さが増して破れにくくなることに繋がるという。繊維が均等になるように簀桁を揺らすには、長年の鍛錬と経験が必要だ。


悠さんは「自分の技術に満足することは多分一生ない」と話す。「でも、それも逆に(和紙作りの)魅力なんですけど、やり切ることがないからずっと頑張れるっていうのもあるんです」。



高校時代に和紙作りに興味を持ってから9年、浜田市に暮らし始めてから6年。


「自分が納得するまで突き詰めていきたい」とほがらかに話す悠さんの和紙作りを追った。



続きは、ディスカバリーチャンネル放送から。



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Text by Discovery編集部

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