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【明日への扉】壱岐鬼凧職人 〜 祖父への思いをのせて 〜

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「神秘の島」と呼ばれる長崎県・壱岐島。

古い歴史が残っており、日本最古の歴史書である古事記にはイザナギとイザナミの夫婦神によって作られた8つの島のうち5番目に生まれた島との記述がある。また、日本一神社の密度が高い地域としても知られ、神社庁に登録されているだけでも150社、小さなものも含めると1000社近くあるそうだ。

そんな壱岐島には、その昔鬼がたくさん住んでいたと言い伝えられている。首領は悪毒王という凶悪な鬼。その悪毒王を倒すため、壱岐へやってきたのが百合若大臣という武者だった──。

この鬼退治の伝説と密接に関わっているのが、壱岐鬼凧だ。



その絵は武士の兜に鬼が噛みついているという一風変わったもの。空を舞いながら独特なうなり音を上げ、鬼の襲来から壱岐島を守ってくれるそうだ。

かつては集落ごとに作られていた鬼凧だが、現在作り続けているのは「鬼凧工房 平尾」一軒のみ。壱岐島で唯一鬼凧の伝統を受け継いでいるのが、斉藤あゆみさん(29)と、祖母の平尾フクヨさん(89)だ。



あゆみさんの凧作りの師匠は、祖母と、今は亡き祖父だ。あゆみさんの祖父・平尾明丈さんがフクヨさんと鬼凧を作り始めたのは50年前だった。当時は島に何人かの職人がいたが、20年ほど前にはふたりだけになってしまったという。

両親が共働きだったということもあり、幼い頃は祖父母に預けられ、工房で遊んでいたというあゆみさん。「一番小さい鬼凧を与えられて、それを塗り絵にしてましたね、遊びで」と話す。

あゆみさんは高校卒業後に福岡市で働きはじめ、当初は壱岐島に戻るつもりはなかったそうだ。ところがある時、明丈さんが怪我をしてしまい、凧を作ることが難しくなってしまった。このままでは鬼凧作りが途絶えてしまう──そう思ったあゆみさんは、島に戻ることを決意した。そして、祖父から凧作りを学んでいった。

今でも忘れないのは、初めて自分だけで一から作り上げた作品を見せた時に、祖父がかけてくれた「上手たい」という褒め言葉だ。

「本当に下手くそなんですよ、最初だから。絵も上手に描けていないし。それでもすごく褒めてくれて、すごく嬉しくて。おじいちゃんが喜んでいる姿を今もずっと覚えているし、おじいちゃんのためにも頑張りたいなと思いました」とあゆみさんは笑顔で語る。

あゆみさんが島に戻って一年後、祖父・明丈さんは帰らぬ人となった。



今では祖母と二人三脚で壱岐鬼凧の伝統をつなぎ続けているあゆみさん。「自分が作った凧が高く飛んだ時は嬉しいですね」と話す。

うなり音を上げながら青空に舞い上がるあゆみさんの鬼凧を、天国の祖父は見ているだろうか。



続きは、ディスカバリーチャンネル放送から。


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Text by Discovery編集部

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