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【明日への扉】舞い泳ぐ昇龍に魅せられて〜伝統の手描き鯉のぼりを復活させた若き職人〜

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春風の心地よい季節になると、空に巨大な鯉たちが舞い始めるのを心待ちにしている方も多いのではないだろうか。時に勇ましく、時にゆったりと泳ぐ色とりどりの鯉のぼりは、見ているこちらの心も晴れやかにしてくれるから不思議だ。



今では日本中で端午の節句を祝う風物詩となった鯉のぼりの起源は江戸時代まで遡る。当時、武士の家では男の子が生まれるとその出世を願って幟(のぼり)に武者絵などを描いて掲げていたそうで、それをヒントに江戸の町人たちが魔除けの意味を持つ「吹き流し」と縁起物とされる「鯉」を立体的にしつらえ、竿にかけて空高く掲げたのが鯉のぼりのはじまりだと言われている。


そもそも鯉が縁起物だとされるのは中国の故事に由来するそうだ。流れの急な龍門という河を登り切った鯉は龍になるという「登龍門」の話にちなみ、鯉は立身出世の象徴として古くから親しまれてきた。


鯉が河をのぼりやがて龍となって天をかけるが如く、子どもたちの人生もまた健やかなチャレンジ精神に満ち、祝福されますよう──。鯉のぼりに込められた願いは、江戸時代も今も変わらない。


一方で、変わったのは鯉のぼりの姿やその製作方法だ。もともとは手描きだった鯉のぼりだが、今では雨に強い化学生地に型を使って染めたものが生産量の大半を占める。江戸手描き鯉のぼりを製作しているのは、日本では現在たった一人、千葉県市川市にある秀光人形工房にて日々製作に励んでいる金田鈴美さん(28)だけだ。



鈴美さんこそが「三代目金龍」を名乗るうら若き江戸手描き鯉のぼり職人。一度は途切れてしまった江戸手描き鯉のぼりの伝統を、35年ぶりに復活させた。


人形工房の跡継ぎとして育った鈴美さんは、幼い頃から鯉のぼりが大好きだったそうだ。美術系の中高一貫校に進学し、「鯉のぼりを仕事にしたい」と志したのは17か18歳の時。さらに大学で美術を修めてから家業に就いた。


目指したのは初代金龍の手描き鯉のぼりだ。だが、彼は鈴美さんが幼少の頃すでにこの世を去っていた。幸い、鈴美さんの父・二代目金龍が初代金龍の絵や形を受け継いでおり、鈴美さんはその父の指導のもとで手描き鯉のぼりの修業を始めた。



三年後にようやく「三代目金龍」を名乗ることを許されたという鈴美さんだが、技の高みを目指してまだまだ修業中だという。染料の調合から筆で描き入れる一本一本の線に至るまで、一度たりとも失敗は許されない。こうしてできあがった鯉のぼりが空にあがると、手描きならではの迫力があると評判だ。


「鯉のぼりが空にあがっている風景をなくしたくない」と話す鈴美さん。映像で、ぜひ鈴美さんの真摯な仕事ぶりをご覧いただきたい。


続きは、ディスカバリーチャンネル放送から。
 

~at home presents明日への扉~

 
10月から放送時間を30分に拡大!


ディスカバリーチャンネルにて毎月第3木曜日夜7時30分〜8時、再放送は翌々週の日曜日朝8時30分〜9時まで放送中


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Text by Discovery編集部

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