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【明日への扉】青森ねぶた祭の魂・大型ねぶたに魅せられて ~5歳でねぶた師を志した少年が夢を叶えるまで~

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(以下は2010年2月に放送されました)

青森県青森市で毎年8月2日から7日まで開催される「青森ねぶた祭」。

日本の代表的な火祭りの一つとして国の重要無形文化財に指定されており、例年300万人超の観光客が訪れる県最大のイベントだ。

お囃子が響きわたり、威勢のいい「ラッセラー」の掛け声とともにハネト(跳人)と呼ばれる踊り手たちが舞いながら市内を練り歩く。その後から、歌舞伎や神仏、歴史・伝説上の人物を題材にした、さまざまな「ねぶた」と呼ばれる巨大な山車(だし)が威風堂々と姿を現す。

祭りの魂ともいえるこの大型ねぶたを、労力と情熱を注いで制作しているのがねぶた師だ。

ねぶた師の仕事は、テーマを決め、下絵を描くことから始まる。平面に描かれた歴史的な人物やその人物をとりまく鬼、龍、妖怪や獣たちは、針金と木材で細部に至るまで立体化され、何百もの電球が取りつけられる。

全体を和紙で覆ったら、次は「書割」だ。この段階のねぶたは純白で、雲がいくつも連なっているように見える。そこにねぶた師の筆が加わり、墨で顔や手足、着物の柄などが描き分けられていく。目に力が宿り、振りかざした剣がしなる。見る者を圧倒する迫力が生まれる、非常に重要な作業だ。
 
やがて彩色され、あかりが灯されると、まるで絵から飛び出してきたかのように躍動感溢れるねぶたが完成する。勇壮に見える反面、非常にデリケートな美術品でもあり、その儚さもまたねぶたの魅力のひとつだ。

かつて、そんなねぶた師の仕事を熱心に見つめる少年がいた。立田健太さん、5歳。家族に連れられて、ねぶた師・内山龍星先生の作業場へ見学に訪れていた。

「作り上げていく工程や、ねぶたの色使いの凄さに感動して、”ねぶたを作る人になりたい!”と心底思いました。その時の感動は、今も忘れないし、その気持ちが原動力になっています」と立田さんは語る。

立田さんは14歳で内山氏に入門した。それから10年間、学業と両立させながら内山先生の指導のもとでねぶた作りの技を習得してきた。

ねぶた制作で大変なことは?と問われ、立田さんが真っ先に挙げたのが生活していかなければならないということ。内山先生のもとで無事修行を終え、ねぶた師として独り立ちできたとしても、しばらくは生活が厳しいと先を見据えている。そのために、立田さんは青森市内の高校に臨時講師として勤務し、ねぶた制作同好会を通じて生徒たちにねぶたの魅力を伝えている。

ねぶた以外の職業に就く気は湧かなかった、と立田さんは言う。

「ねぶたを中心にしか考えられない頭なんですよね。だから、ねぶたを作るためにはどうしようとか、ねぶたを作るためにはなにをすればいいのかと…。ここで方向転換すると、もう悔い残る人生だと思うんです」

幼い頃からねぶた師への道をひた走ってきた立田さん。あと数年で弟子上がりして、ねぶた師としてのデビューを飾ることになりそうだ。

彼が制作した大型ねぶたが、青森ねぶた祭を沸かせる日は近い。



続きは、ディスカバリーチャンネル放送から。

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ディスカバリーチャンネルにて毎週金曜、夜10時53分から放送中。

明日への扉公式ページはこちらから。

https://www.athome-tobira.jp/

 

Text by Discovery編集部

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