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【明日への扉】刀を磨き、心をも磨く〜日本刀に秘められた美しさを引き出す研師〜

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研ぎ澄まされた日本刀を間近で鑑賞した経験をお持ちだろうか。


一点の曇りもなく、鏡面のように光を反射する刀身。ハッとするほど鋭利な鋒(きっさき)。緩やかに反りを描く優美な姿。


余計なものを一切削ぎ落としたその潔い美しさを目にすると、心を動かされずにはいられない。



古来より刀には神の力が宿ると考えられ、武士の魂とも言われてきた。戦いの道具としての役目を終えた現代においてもなお、日本人の深い美意識と精神性を象徴するものとして多くの人々を魅了し続けている。


そして、日本刀は様々な職人によって作り上げられる美術工芸品でもある。刀身は刀鍛冶が、鍔は鍔師が、柄は柄巻師が…というように様々な職人が分業により日本刀の総合的な美を作り上げていく。中でも、研師は刀の美しさにひときわ大きな影響を与える存在なのだそうだ。


刀鍛冶が行うのは鋼から刀を形作るまで。この時点ではまだ刃もついていなければ、地鉄(じがね)や刃文(はもん)などの特徴的な模様も見えていない。刀身を研磨することで日本刀の美しさを表に引き出すのが、刀剣研師の腕の見せ所である。
 

日本を代表する刀鍛冶である吉原義人氏の言葉をお借りするならば、刀鍛冶にとって研師とは日本刀の本当の良さを表してくれる「大事なパートナー」なのだ。


研師は何種類もの砥石を使い分けながら時間をかけて刀身を研ぐことで、日本刀に秘められた刃文を浮かび上がらせ、その刀が持つ本質的な美しさを最大限に引き出すことができる。研師がいてこそ、日本刀の美が完成する。


このように日本刀の美しさに大きな影響を与える存在である研師。今回の取材では、その研師を目指して日夜精進を続けている若き職人、多田芳徳さん(31歳)の丁寧な仕事ぶりを、余すところなく見せていただいた。


師匠である臼木良彦氏は、これまで数々の刀剣研磨の賞を獲得。その功績により「無鑑査」と呼ばれる資格も授与された。多田さんがそんな師匠に弟子入りしたのは6年前。臼木氏いわく、研師の世界には「魔の三年」という言葉があるそうで、研師としての修行を始めて三年まではなんとか耐えられるのだが、そこで脱落してしまう人が多いという。



多田さんはそこをクリアしているので、「もう後戻りはできないはず」と臼木氏は語っている。そして、「覚悟が現れてくると、真剣度も違ってくる」とも。


子供の頃、時代劇のヒーローに憧れて、おもちゃの刀で真似をするのが大好きだったという多田さん。大学4年生の時に臼木氏の仕事を見学する機会に恵まれ、研師の世界に入る決意をしたという。


手にしていたおもちゃの刀はいつしか本物の日本刀になり、今回縁あって多田さんの手に委ねられたのはおよそ600年前に作られたという室町時代の刀だ。



一本の刀を仕上げるのに要する時間は数週間。根気のいる長い作業だ。その刃を研ぎ澄ますことにより、多田さんは職人としての自分の心をも磨きあげているように見受けられる。そして、そんな多田さんの仕事ぶりを拝見しているうちに、こちらの心まで洗われるような気がしてくるから不思議だ。



続きは、ディスカバリーチャンネル放送から。


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