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【明日への扉】みずみずしい感性で提灯作りの新しい可能性を灯す~老舗を継いだ若き八女提灯職人の挑戦~

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闇をやわらかく照らす提灯(ちょうちん)は、日本の原風景のひとつといえるだろう。


電気もガスもない時代に、人々は細い竹ひごを使った枠に紙を貼り、中にろうそくなどを入れて照明具を作った。持ち運びができるよう、持ち手をつけたり折りたためる工夫が凝らされ、江戸時代には一般庶民の生活にも欠かせない必需品となった。



福岡県南部にある八女市は、全国でも名高い提灯作りの町だ。八女市周辺で作られる提灯は「八女提灯」と呼ばれるが、特徴はその製法にある。


京都で作られる「京提灯」は提灯の木型に一本ずつ竹ひごを巻いていく製法であるのに対し、八女提灯は一本につないだ竹ひごを螺旋状に巻いていく「一条螺旋式」と呼ばれる製法で作られている。


細い竹ひごで作るため、美しいかたちに仕上がるのがメリットだ。現在では提灯の大半がこの作り方だが、その発祥は八女提灯と言われる。


八女提灯の主流は先祖供養のためお盆の時期に仏壇の前に飾られる盆提灯で、全国一の生産量を誇る。その中でも、八女提灯を古くから作ってきた伊藤権次郎商店は、祭や神社・仏閣・飲食店などで使う装飾提灯のみの製造を行っている。


そんな老舗の8代目を継ぐべく、日々研鑽を積んでいるのが伊藤博紀さん(29)だ。


伊藤権次郎商店では提灯作りは分業で行われる。提灯作りの技を継いだのは博紀さん、そしてでき上がった提灯に絵を描いていく技を継いだのは兄の達耶さん(31)。200年にわたる伊藤権次郎商店の技術と伝統を、兄弟で受け継いだ。



博紀さんは「小学生の時には提灯屋になるともう決めていた」そうだ。祖父や父が作る提灯が大好きだったという。


幼い頃から絵の才能に長けていた兄は、まっすぐ絵師の道へ進んだ。一方、博紀さんは大学でマーケティングを学んだ後、一度提灯屋とは別の道へ進んだ。


博多のファッションビルに就職し、プロモーションの技術を習得。提灯作りだけでは学べない経験を積んだ。実家へ戻り職人として本格的に提灯製作を始めてから、いま5年が経とうとしている。


提灯の魅力について、博紀さんは「日本を演出するものだと思っています」と語る。「演出・装飾という部分で神社やお寺、お祭り以外で何か空間を表現できたらいい」と、伝統を守りながらも提灯の新しい可能性を模索する日々だ。



すでに提灯作りひとすじだったら考えつかなかったかもしれない斬新なデザインをいくつも生み出してきた。


紙以外の素材を使って製作した提灯。伝統的な陶芸品の意匠を汲んだ絵柄。素材だけでなく見せ方にもこだわり、他業種とのコラボレーションも広げている。


博紀さんが手がけた美しい装飾提灯は、祭場、劇場、寺院や飲食店など、いたる所に飾られている。ひょっとしたら、あなたの住む町にも彩りを添えているかもしれない。

 

続きは、ディスカバリーチャンネル放送から。


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Text by Discovery編集部

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