相思令（そうしれい）～君綺羅（くんきら）と玄烈（げんれつ）～

玄烈に捕らえられた君綺羅は、自分を西鑲に連れていけば君非凡に会わせると約束する。君綺羅の言葉に賭けると決めた玄烈は、君綺羅を連れて西鑲へ出発するが、その道中で君綺羅は玄烈をだまして逃走。追いかけた玄烈と共に、そのまま死の砂漠へと迷い込んでしまう。玄部副将･羅奇は、仲間の賀機遥と北泫王に玄烈の行方不明を伝える。北泫を束ねる狼主の選出を目前に、最有力候補の玄烈が姿を消したことで、部族内では思惑が交錯する。

君綺羅と玄烈、賀機遥の３人は、瑶城に宿をとる。玄烈の居所を突きとめた奚部の少主･奚莫は、玄烈を殺す罠を仕掛ける。一方、君綺羅は、玄烈の目を盗み、玄鉄晶石を探していた。その夜、宿が馬賊の襲撃を受ける。間一髪で脱出した玄烈と賀機遥だったが、郊外の廟に追いつめられ、馬賊に包囲されてしまう。羅奇は軍を率い瑶城に向かうが、間に合いそうにない。その頃、変装した君綺羅は玄烈の幼なじみ、羅部族長羅執舟の家へと急いでいた。

君綺羅が失踪したと知り、君成松は君家の実権を握ろうと企む。商会の総会を控え、君成柳は焦りを覚える。一方、君綺羅は鉱脈を探すため、玄烈と共に北泫へ行くことを決意。玄烈は君綺羅から織物の技術を得ることを条件に、同行を許す。その道中、玄烈一行は梁州を訪れる。梁州の族長･孫抜の支持を得れば、狼主選出で有利になるからだ。君綺羅と羅執舟を伴い、梁州の城門をくぐる玄烈。そこには狼主選出で強敵となる奚長昆が待ち構えていた。

孫部の郡主･孫昭敏は、独自の産業がない梁州で民を飢えさせない手段を考えていた。玄烈から耳寄りな話を聞き、孫昭敏は君綺羅の手を借りて織坊を作ることを思いつく。君綺羅は梁州の布問屋たちの前で、見事な刺繍の腕前を披露し、出資者を集めて織坊の立ち上げに成功する。狼主選出で玄烈と対立する奚長昆は、織坊を壊そうと民を焚きつけるも君綺羅たちに阻まれる。そこで、君綺羅を陥れるためのある謀略を織坊に仕掛ける。

君綺羅は孫昭敏とひと芝居打ち、奚長昆一味が、あらかじめ薬材を買い占めてから銀織坊に疫病を発生させたことを暴露する。怒った孫抜が刀を抜くと、奚親子は慌てて梁州を後にする。孫抜は玄烈に礼を言い、玄烈の両親が亡くなった時の状況を打ち明ける。手がかりとして渡された入れ墨の文様は、先日の刺客のものとそっくりだった。その頃、玄青蔲は邵祈民を連れて玄烈を探していた。２人は賭場に入る。いかさま賭場とも知らず…。

玄烈に連れられて北泫の王城に入った君綺羅は、求めていた玄鉄晶石を再び探し始める。羅執舟は王宮で、かつての恋人で今は北泫王の側室となっている李妃と再会する。李妃と息子の玄懿は王后に目の敵にされ、つらい立場に追い込まれていた。晶石の在りかを示す羅盤に導かれ、山中へとやって来た君綺羅は、東屋で酒を飲む玄烈を見つける。玄烈が両親の命日を、思い出の場所で１人きりで過ごしていると知り、そばに寄り添うのだった。

玄烈は君綺羅を開発中の鉱山へと案内する。君綺羅が探しているという温泉が湧き出しているからだ。そこで採掘されている鉱石を見て、君綺羅は目の色を変える。それこそ探し求めていた玄鉄晶石であった。勢い込んで交易を持ちかける君綺羅に、玄烈は疑惑を募らせる。一方、玄青蔲は賀機遥と合流し、王城へと向かう。玄青蔲は賀機遥の反対を押し切り、邵祈民を連れていくと主張する。そんな玄青蔲に復讐するため、悪漢どもが襲ってくる。

鉱山で爆発に巻き込まれ、坑道に閉じ込められた君綺羅と玄烈。負傷した玄烈は君綺羅を背負い、無事に脱出する。玄烈の優しさを感じながらも、君綺羅は正体を隠し、自分が君非凡であることを否定する。一方、邵祈民を奴隷にした玄青蔲が玄烈の屋敷に来訪する。思わぬ再会に驚く君綺羅と邵祈民。邵祈民の境遇に責任を感じる君綺羅は、彼の解放をかけて、玄青蔲に狼狩りの勝負を挑む。邵祈民を大切に思う君綺羅を見て、玄烈は心穏やかでなかった。

何者かの罠にはまり、密林へ向かった君綺羅と邵祈民。２人を追い、玄烈と玄青蔲も密林へ急ぐ。そこに黒衣の集団が来襲。玄烈･君綺羅･青蔲･邵祈民の４人は、密林の山へ逃走。夜が更けて、玄烈たちは、ある山寨にたどり着く。そこに暮らす者の首筋には、玄烈の両親を殺した集団と同じ文様が刻まれていた。君綺羅の機転で、４人は身分を商人と偽り、その山寨に泊まることになる。玄烈はこの山寨に、父親の死の手がかりがあるのではと考える。

遊猟会へと急ぐ玄烈と君綺羅の前に、再び黒衣の集団が現れる。傷を悪化させた玄烈を山小屋に置き、君綺羅はおとりとなって追っ手を引きつける。遊猟会が３日後に迫る中、行方不明の玄烈に代わって狼主になるよう、羅執舟は孫抜を説得。だが孫抜は羅執舟の思惑どおり、逆に羅執舟が狼主になるよう懇願する。賊に捕らえられた君綺羅を救うため、玄烈は狼主の座を捨てて駆けつける。羅奇の助けを得て危機を逃れた玄烈は、君綺羅に愛を告白する。

奚莫に取り引きを持ちかけられ、玄鉄晶石と玄烈への想いの間で揺れる君綺羅。そんな中、五部の狼主を決める遊猟会の幕が上がる。君綺羅は将軍愛用の弓を手入れし玄烈に渡す。第一試合で、突如玄烈の弓の弦が切れる。窮地に立つ玄烈に、謎の刺客たちが襲いかかる。玄烈をかばい、羅奇が刺客の矢に倒れる。第一試合で玄部は３位に終わり、人々の疑惑の目は焱南人である君綺羅に向けられる。玄烈は君綺羅を激しく問い詰め、ついに２人に決別の時が。