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絶対に湯冷めしない!? 温泉大好きなサルたちの羨ましすぎる体の仕組み

2018.03.22

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Discovery編集部

気持ち良さそうに温泉に浸かるサルたちの姿を、誰しも一度は目にしたことがあるだろう。

長野県の山奥にある「地獄谷野猿公苑」は、温泉に入る野生ザルの姿が見られる世界唯一の場所。1970年にこの温泉に入るサルが米『LIFE』誌の表紙を飾ったこと、さらに1998年の長野冬季オリンピックで同地を訪れた各国のマスコミが報じたことで脚光を浴び、いまや国内外から例年約10万人が訪れる有数の観光スポットとして知られている。

ニホンザルが温泉に入る理由はズバリ、寒さをしのぐため。マイナス10度以下になる地獄谷の冬を乗り切るため、現在約250匹ものサルが餌と温泉を求めてこの地を訪れているという。しかし、どうしても「入浴後のサルは湯冷めしないのか?」という疑問が湧く。いくらお湯でしっかりと身体を温めたとはいえ、ひとたび出てしまえば外は極寒の世界。しっかりと水分を拭き取り身体を乾かさなければ、すぐにでも風邪を引いてしまいそうなものだが……。

結論から言うと、そもそもサルは湯冷めをしない。彼らは体を覆う細かな毛の中に空気の層と油分を含んでいるため、湯に浸かっても皮膚まで水分が浸透せず、入浴後にブルブルッと体を震わせるだけで毛の表面についた水滴が落ちるのだ。もともと汗腺が少なく、急激な体温変化が起こりにくいので寒さに対する抵抗力が強いこともある。つまり、湯上りそのままの状態でタオルもドライヤーも必要なし。体の温まった状態がある程度持続し、風邪を引く心配もないというわけだ。

湯冷めして風邪などひかないよう、色々と気を使いがちな我々人間にとっては、ちょっと羨ましい特性である。お風呂から出てそのまま布団に入れたら、どれほど楽だろうか……。とりわけこの寒い季節には、そんなことを考えられずにいられない。

Text by Discovery編集部

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