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他の動物が避ける「酸っぱい」食べ物、なぜ人間は好んで食べるのか

2019.07.05

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レモンや梅干しなど、あまりの酸っぱさで顔をすぼめてしまうほどの食べ物がある。苦痛にも近い刺激である酸味を、人はなぜ求めてしまうのだろうか。

人間は柑橘系の果物を好んで食べる。人間の体は、細胞組織を正常に機能させるために、ビタミンCに含まれるアスコルビン酸を摂取する必要があるからだ。実は人間以外の生き物は体の中でビタミンCを合成する機能を持っているのだが、人間は進化する過程でビタミンCが多く含まれる果物などが身近にあり、容易に摂取できていたために、その機能が備わらなかったのだとされる。


Caroline Attwood on Unsplash

レモンなど柑橘系の果物にはビタミンCが多く含まれるが、食べた時に酸っぱいと感じるのはビタミンCではなく、クエン酸によるものだ。ビタミンC自体は、アセロラや赤ピーマン、パセリ、芽キャベツなど、酸味がないものにも多く含まれている。

一時、疲労の原因が乳酸であり、それを抑えるために体がクエン酸の酸味を欲しているのではないかという説があったが、近年の研究では、乳酸は逆に疲労を抑制するための物質であることが示唆されている。

本来、動物にとって酸味は、腐食したり発酵したものが持つ味として避けるべきものと認識される。実際、人間でもレモンやライムのような極度の酸味を持つ果物にそのままかぶりつく者は少ない。酸っぱいものを食べた時の顔は、ある種の拒絶反応であり、自身や周りの仲間にその危険を知らせるためである可能性があると、ラトガース大学の教授ポール・ブレスリンはLiveScienceに述べている。

人が酸っぱいものを好んで食べる理由は、進化の過程でビタミンCを含む酸味を持つ柑橘類を食べてきたからなのかもしれない。その確かな答えは、これからの研究で明らかになっていくだろう。

Text by Daisuke Sato

関連リンク
LiveScience (Why Do People Scrunch Up Their Faces After Tasting Something Sour?)
岡山理科大学(その30[お茶の変色を防ぐ?] 解説)
ハフィントンポスト(「疲労物質=乳酸」はもう古い|「疲れ」はどこから来るのか)

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