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血は赤いのに、なぜ血管は青く見えるのか
2018.01.16
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人間の血の色は赤い。それなのに、皮膚の上から見える血管は青く見える。これは一体何故だろう?
The Conversationに届けられたそんな素朴な疑問に、シドニー工科大学のDavid Irving助教授が答えている。Irvingによればこの疑問への答えには複数の要素が絡み合っており、その鍵となるのは光の波長だ。
まず、光は色により波長が違う。赤い色は波長が長く700ナノメートル程度、紫は短く400ナノメートルほど、その間にそれ以外の色の波長が存在する。青色の波長はといえば475ナノメートルほど、短い方だ。波長が長いためより偏向されにくい赤色は、例えば皮膚に当てたときには他の色よりも深くにまで、皮膚の5~10mm下の血管のあるところまで届く。そこまで行くと赤い光はヘモグロビン(赤い色素を持つタンパク質、血が赤いのもヘモグロビンが理由だ)に吸収されてしまう。なので赤い光を皮膚に当てれば、ヘモグロビンに赤色が吸収されたところだけ暗くなるはずだ。この仕組みは医療にも用いられており、赤い光や、より長い波長を持つ赤外線を使って血管を探すのに役立てられている。
青色はどうかと言えば、波長が短いため、赤と比較し簡単に散乱してしまう。そのため皮膚に当てても皮下一ミリも届かず、そのほとんどが反射してしまう。欧米の公衆トイレなどでは青い照明を見かけることがあるが、これは青の波長が皮下に届かないことを利用して血管の位置が見えづらくし、麻薬の静脈注射を難しくするためだ。
では赤や青の光ではなく、普通の、白い光(可視光が全て混ざった光)ではどうなるのか。血管以外の場所では様々な色が反射するが、血管部分では赤色は吸収されるので赤は反射されず、その代わりに皮膚の他の位置よりも青色が目立つというわけ。
ちなみに空が青い理由は、大気中の分子に波長の短い青い光がぶつかり拡散されやすいからである。日没時に空が赤いのは、太陽との距離が長くなることで青い色が拡散しきってしまい、代わりに赤色が見えるようになるからである。
I’ve always wondered: why do our veins look blue when our blood is red?(The Conversation)
Text by Discovery編集部
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