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徹夜は非効率!どうしても必要なときに気をつけたいこと

2019.08.21

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サイエンス
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Discovery編集部



「睡眠時間を削ってでも勉強したほうが良い」。

かつての大学受験では「四当五落(よんとうごらく)」といった考え方が、まことしやかに語られていました。これは、「4時間睡眠なら合格、5時間睡眠なら不合格」という極端な考え方で、今では過去のものになったかのように感じられるかもしれません。

しかし、現在でも「ショートスリーパーになるには」や「短眠のコツ」のように、睡眠時間を削ってでも勉強をした方が良いといった認識は、まだ残っているのも確かです。今回はそんな睡眠と学習の関係について紹介します。

学習には2通りの方法があるという事実


そもそも学習方法には、「分散学習」と「集中学習」があります。ある程度時間を空けて繰り返し復習する分散学習に対して、集中学習とは、ある学習課題が十分に理解できた直後に、同じかあるいはよく似た課題の学習を続けて行うことです。

一夜漬けのような学習の方法は、まさにこの集中学習です。

ちなみに、理化学研究所によると、一夜漬けなど短時間の集中学習によってできた記憶に比べ、適度な休憩を取りながら、繰り返し分散学習してできた記憶の方が長続きすると発表されています。

さらに、これは運動においても同様にして起こるようで、電気通信大学では、運動の記憶がトレーニング後に小脳内でどのように定着するのかを理論的に明らかにしました。

記憶の定着がトレーニング後に起こるということは、全体で1時間トレーニングを行うより、15分のトレーニングを4回行った方が内容が定着することを示唆する結果と言えるでしょう。

効率のいい一夜漬けの方法とは

しかし、大事なテストやプレゼンテーションがある前日にそんな悠長な事は言っていられません。ここからは、「もし一夜漬けをする時の有効的な方法」について説明していきたいと思います。

まずは、「一夜漬け」という言葉から、一睡もせずに当日に臨むイメージがある人も多いかもしれませんが、結論から言ってこれはオススメしません。

日本睡眠学会認定医の遠藤拓郎さんによると、「徹夜で臨むのは、最悪のパターンで、夜に覚えて、少しでも睡眠をとって朝もう一度復習するのが良い」と言います。

というのも、人間は睡眠中に、大脳が休んでいるだけでなく、たいへん重要な生理機能が営まれているからです。

その一つが、記憶の整理、固定です。私達は睡眠中にまぶたの下で眼がキョロキョロと動いていることがあります。このときに起こすと夢を見ていることが多く、これはレム睡眠と呼ばれています。

レム睡眠時には記憶や感情を整理し、その固定・消去をしていると推測されています。レム睡眠をとらないと技能の習得が悪く、語学の習熟が遅れるとも言われており、英語をよく学習して成績の良かった学生と、あまり成績のふるわなかった学生の眠りを比較したところ、成績の良かった学生のレム睡眠量は増えており、成績の良くなかった学生のレム睡眠量には変化がなかったとの研究もあります。

それでは、どのように仮眠を取れば良いのでしょうか。仮眠のポイントはズバリ、時間と場所です。

脳が深い睡眠モードに入ってしまう手前の15分以内にするか、睡眠サイクルとされる90分区切りで1時間半か3時間寝ると起きやすいといいます。

さらに、場所は机の上にタオルを敷いて顔をつけるか、リクライニングさせた椅子にしましょう。ソファや床は深い眠りに落ちやすいので避けた方が良いでしょう。

もちろん、こんなことになる前に計画的に学習できるようにしたいものです。

Text by Discovery編集部

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