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【東京モーターショー2017】自動運転の未来を提案する三菱電機のコンセプトたち

2017.11.02

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三菱電機は、「Feel the EMIRAI ~未来はここにある~」をコンセプトに「第45回東京モーターショー2017」に出展。環境に優しく、事故のない、一人ひとりに最適で快適なスマートモビリティ時代に向けたコンセプトカー『EMIRAI4』をはじめ、各種先進技術と製品を紹介している。


ここで三菱電機が掲げたテーマは大きく3つある。一つは低炭素化・持続可能な社会を支える「電動化」で、48Vハイブリッド車向けエンジン出力軸直結型ISG(スターター兼ジェネレーター)システムをはじめ、同社が提案する近未来の電動化システムを紹介している。二つ目は自律型走行とインフラ型自動走行の組み合わせにより安心・安全な社会に貢献する「自動運転」の実証実験を実施してきた自動運転技術搭載車『xAUTO』を出展。そして三つ目が一人ひとりに快適性を提供する「コネクテッド」だ。AIを活用した次世代カーナビゲーションシステムをはじめ、ドライバーの運転支援に貢献する最新のテクノロジーを紹介する。

この中でこの集大成とも言える出展が『EMIRAI4』だ。三菱電機は、これまでも継続してEMIRAIシリーズを出展してきたが、それらとは異なり、電動化した上でクラウドと常につながるコネクテッドカーとして自動運転レベル3を見据えている。つまり、高速道路など自動車専用道路ではハンドルを握らずに移動できる自動運転となり、必要に応じてドライバーが運転をすることを想定する。でも、コンセプトカーで「レベル3」とはずいぶん控えめだ。これについて、「コンセプトカーだけに自動運転のレベルを上げることは簡単なこと。それより実現可能な技術を取り入れることで、すぐにそこに来ている自動運転の世界を広く提案したかった」と担当者は話す。

では『EMIRAI4』ではどんなことが提案されているのだろうか。クルマに乗り込もうと近づくと、路面には鍵状のシルエットが表示され、その上に立ち止まるとロックが解除されてドアが開く。そのままシートに座ると自動的にカメラが顔を認証し、クラウドへアクセス。この際に登録済みのドライバー情報の確認が行われ、顔の高さに合わせシートポジションなどを最適位置に自動調整する仕組みだ。また、デモでは助手席の人とスケジュールを調整して、ランチが食べられそうな店を自動的にリストアップ。ディスプレイ下部にある大きめのロータリーコマンダーを回し、左右にスライドさせて希望の店を目的地に設定する。

さて、『EMIRAI4』は設定した目的地に向かうため、高速道路上では自動運転で走行。間もなく、自動運転区間が終了に近づくと、ドライバーが運転できる状態にあるかどうかをカメラでチェックし、居眠りや脇見をしていない状態でハンドルを握ることをシステムが把握すると、その時点で手動運転に切り替わる。メーター内では電子ミラーの枠が大きく表示され、同時にダッシュボードの色が緑色に変わって、運転の主導権がクルマからドライバーへ切り替わったことを示していた。また、運転席の前方には少ない視線移動で多くの情報を伝えられるヘッドアップディスプレイ(HUD)を搭載。天候で視界が悪いときでもこのHUDを介して、進むべき道路や車線、対向車の存在などを知らせていた。



そして、この『EMIRAI4』で実現していた機能で見逃せないのは、“HUD”、“クロッシングディスプレイ”、“ノブオンディスプレイ”の3つのディスプレイだ。「HUD」では、AR(仮想現実)に対応することで、単に映し出すだけでなく奥行きによって距離感までも把握でき、悪天候時の進行方向や障害物の存在などを表示する。運転席前のメーターパネル内にあるのが「クロッシングディスプレイ」だ。2枚のディスプレイを重ねて奥行き感を出していることからその名がついた。空中に浮いているような表示はまさに未来感たっぷり。細かな表示を行ってもその内容把握が瞬時に行えた。そして、助手席と運転席の間にある大型ディスプレイが「Knob-on-display(ノブオンディスプレイ)」だ。ディスプレイの上に大きめのダイヤル式ノブを置き、これを回したり左右にスライドさせることでブラインド操作も可能な、タッチパネルを上回る操作感の実現を目指したという。

また、『EMIRAI4』は、周囲とのコミュニケーションも図る。ドアが開くときは路面に光の図形を表示することでそれを周囲に知らせ、自動運転走行中か手動走行なのかを車両後方の表示によって判別できるようになっている。自動運転が実現するとどんな世界がもたらされるのか、『EMIRAI4』はそんな近未来をいち早く体感できる格好のシミュレーターだった。



『xAUTO』は、「自律型走行技術」と「インフラ型走行技術」を組み合わせた自動運転技術を搭載した実証実験車だ。この車両は2016年5月から高速道路で実証実験を実施しており、これまで300時間を超える実証走行を行った中で、視界が確保できない濃霧や白線が認識できない雪道など様々な道路環境下でも自動運転が継続できることを確認しているという。

実はこれまで多くの場合、自動運転はインフラ側の整備が大前提となっていることが多かった。たとえば路面に白線が引かれていることは、その実現のための重要な条件の一つだった。ところが『xAUTO』ではそれを必ずしも条件とはしない。それは準天頂衛星「みちびき」を使ったセンチ単位の高精度測位を実現していることが大きく、すでにその効果は今年9月にその成果を高速道路上で実証済み。これに車載センサーによるセンシングを組み合わせることでかつてない高精度な制御が可能となっているのだ。



同社ADAS技術部の田中英之氏は「今後は自動運転のレベルが上がるにつれて、ドライバー以外のシステムがシステムを監視するという視点で、インフラ型と自律型が協調することで自動運転の領域は広がっていくと考えている」と話す。また、田中氏は「インフラ整備の重要な要素として高精度地図がある。これが実現しないといくら自律型の精度が上がっても目的地すら決められない。この高精度地図の整備よって数年後には自動運転のレベルが飛躍的に向上する」とも語る。現在、高精度地図(ダイナミックマップ)の整備は国の主導で進められており、すでに全国高速道路や一桁の国道の整備は完了。三菱電機はその幹事会社としてその旗振り役を務める。

その高精度地図を含め、三菱電機が今進めているのが高精度3次元地図の「自動図化技術」と「差分抽出技術」だ。自動運転を実現するためには、より精密な地図データ化として道路上の標識やガードレールといった“地物”に至るまでの整備が欠かせない。しかも、重要なのはその更新をリアルタイムで行わなければならない。三菱電機ではコネクテッドへの取り組みとして、クルマで走行しながら道路周辺の高精度3D地図情報の取得を可能にする技術の蓄積を行っている。特に重視しているのがAIの活用で、それを効率の良い差分抽出技術に役立てるのだ。



また、コネクテッドへの取り組みを進める中で欠かせないのが「車載ゲートウェイシステム」だ。この技術は自動運転の実現までには必ず達成しなければならない。なぜなら自動運転中に乗っ取りなどが発生すれば、それこそ人命に関わる重大な問題となるからだ。そこで、複数の車載機器のソフトウェアを簡単に同時更新し、車両側情報をベースにクラウドと連携しながらCANやイーサネットの異常検知もいち早く行うシステムを構築。さらに、よそからの侵入を可能な限り防ぐためにOSやソフトの更新はいち早く行うためのシステム作りも進めている最中だという。



自動運転へ向けた動きがある中で、電動化へとクルマは間違いなく向かっていくと思われる。その中で三菱電機では、48Vのマイルドハイブリッド車(HEV)に向けた、エンジン出力軸にモーターを直結するタイプのISG(Integrated Starter-Generator)システムを開発。加速時のトルクアシストやジェネレーターとして車両減速時の回生も行う際、エンジン出力直結とすることでパワーロスが少なく、発電量の向上に貢献できるとする。その他、このシステムを実現する48VのHEV向けISG用モーターや、それをより高出力化した駆動用モーターの開発も明らかにした。三菱電機では、これらラインアップの充実により、HEVやPHEV、EVなど様々な電動化ヘ向けた動きを加速する考えだ。
三菱電機のブースでは、こうした自動運転の実現を向けた最新情報を、より具体的な例を見ながらわかりやすく解説されている。一歩ずつ着実に近づいている自動運転の世界を三菱電機のブースでぜひ体験してもらいたい。

Sponsored by Mitsubishi Electric Corporation

Text by Discovery編集部

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