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Credit : Earth Science and Remote Sensing Unit, NASA Johnson Space Center

UFO?スペースシャトルから撮影された謎の物体の正体は

2017.12.05

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Text by Discovery編集部

2011年5月。NASAは国際宇宙ステーション利用補給ミッションSTS-134として、スペースシャトル エンデバーを打ち上げた。こちらは打ち上げ後にスペースシャトルから撮影されたSTS-134のクルーによる映像。スペースシャトルから切り離され、自由落下するオレンジ色の外部燃料タンクが写されている。

問題は動画3分34秒から3分36秒にかけて。


おわかり戴けただろうか…謎の白い物体が巨大な燃料タンクの右側を漂っているのを…。

YouTubeチャンネルUFO Todayはこの物体を「ホワイト・ナイト衛星かもしれない」と報じている。「ホワイト・ナイト衛星」という名称は、人類以外の手により地球の軌道を周回する「ブラック・ナイト(黒騎士)衛星」があるとされる陰謀論から来ている。有名なのは1998年のスペースシャトル エンデバーによる国際宇宙ステーション建設のためのSTS-88ミッションNASAが公開した写真に写っていた黒く見える物体(トップ画像がそれ)をしてブラック・ナイト衛星だとするものだが、これは船外活動中に剥がれ落ちてしまったサーマルブランケットだというのがその真相とされている。

以前にブラック・ナイト衛星とされたものと、今回のホワイト・ナイト衛星とされるもの、どちらにもスペースシャトル エンデバーが共通しているのも面白い点である。なおUFO Todayでは「燃料タンクからの氷の破片だろうか?」と正論も頭によぎらせつつも、「燃料タンクが雲の上にあるのに、この物体は雲の後ろを通過している」と独自の解釈を展開している。

外部燃料タンクはシャトルが軌道に達してから切り離され、大気圏に再突入して燃え尽きる。雲ができるのは高度1万7000mほどの対流圏界面までとされ、国際宇宙ステーションの軌道高度は40万8000mで、大気圏再突入の起こる高度は7万mから8万m。これを考慮すれば、撮影者がいるのは高度40.8万m、燃料タンクがあるのは高度7万m以上であり、謎の物体があるのは1.7万m以下になるはずだ。三角関数とかが得意な方は計算してみると面白いかもしれないが、もし雲の下にこの物体が存在すればかなり大きなもので地上から観測できるだろうし、高度1万mを飛ぶ航空機の運航にも支障が出ているはずだ。

明確な答えが出ていない点ではこれが未確認物体であることは間違いないが、果たして読者の皆さんは、一体これが何だと思われるだろうか?

UFO hunters rage over mysterious white object spotted in NASA launch footage(Mirror)
Space shuttle Endeavour anomaly – White Knight Satellite discovered?(YouTube)
Endeavour’s External Tank Falls Away(YouTube)
Amazing Facts: Space Shuttle External Tank(NASA)
Facts on Reentry into the Earth’s Atmosphere(Sciencing)
STS088-724-66(Earth Science and Remote Sensing Unit, NASA Johnson Space Center)

Text by Discovery編集部

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