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獣医師が語る、夏にかかりやすいペットの病気とその対策

2018.07.12

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1951年以来、観測史上初となる「6月中の梅雨明け」を果たした2018年の関東・甲信地方。真夏日の突然の来訪を受けてか、総務省の発表によれば同年6月25日~7月1日の一週間に熱中症で搬送された人数は、実に前週の5.2倍を記録したという。

熱中症に気を付けなければならないのは、我々人間だけではない。身近なパートナーであるイヌやネコなどのペットたちにも同じ危険はおよんでいる。大切な家族の一員である彼らを守るにはどうすればよいか?動物行動学を専門とし、ちば愛犬動物フラワー学園で教鞭を執る獣医師の千田純子氏に話をうかがった。

◆夏場はマダニ、食中毒、熱中症に要注意

――夏を過ごすにあたり、気を付けるべきペットの病気は?

千田純子氏(以下、千田):熱中症はもちろんですが、ノミやダニの感染にも気を付けたいですね。マダニを介してペットに感染する重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は、そこからヒトにも感染する恐れがあり、ヒトの致死率も決して低くはないので近年亡くなる方も出ています。草むらには近づかない、駆虫剤を使用するなど、しっかりとした対策をこころがけてください。

また食中毒にも注意しましょう。イヌは夏になると食欲が落ちますので、食事を残しがちになります。それをそのまま捨てないでいると、食中毒の原因になってしまいます。特に今は健康志向が強く、保存料不使用のペットフードを好む方が多いのでなおさらです。

――夏と聞いて最初に思い浮かべる熱中症は、ペットもしっかりとケアした方がいいのでしょうか。

千田:一般的には、イヌはネコよりは熱中症になりやすいです。室内飼いのネコはイヌよりは気ままに動き回るので、暑さを感じたら涼しいところにすぐ移動しますからね。一方、イヌは一度体温が上がると下がりにくい体質があるために、熱中症にかかりやすい傾向があります。
ですが、ペットの熱中症は夏が一番多いというわけではないんです。夏場は多くの方が(室内飼いの)ペットのためにクーラーをつけっぱなしにするなど、暑さの対策をしているんですが、日中だけ急にむし暑くなりがちなゴールデンウィーク頃や、残暑が厳しい初秋頃にも同じように注意してください。外出前、帰宅時の室温しか体感しないと、どうしても日中残されるペットがどのような環境に置かれているかは想像しづらいため、夏と同じくらい気を遣ってあげてほしいです。

あと、毎年夏になると「飼いイヌが水をたくさん飲みすぎてお腹を下してしまった」という相談をよく受けますね。

――夏場にお腹が不調になりやすいイヌにはどのような対処・予防をすればよいか?

千田:イヌはヒトに比べると汗腺が少なく、体温を下げる主な方法は、パンティングと呼ばれる「ハアハア」というあえぎ呼吸で唾液の水分を蒸発させて気化熱を発生させるか、水を飲むかになります。

ところが、暑さで飲み水がぬるま湯のような温度になってしまうと、飲んでも飲んでも体温をうまく下げられません。そのせいで、水を飲みすぎてお腹を下してしまうんですね。庭などで係留しているなら、飲み水を流水にしておけば水温の上昇を防げます。水を入れる容器の下に保冷剤を置くのもよいでしょう。蛇口から出てくるくらいの水温の水を飲ませてあげるのが大切です。

◆イヌは熱中症になりやすい動物…どのように対処すれば良いか

――犬種によって熱中症になりやすい、あるいはなりにくいといった違いはありますか。

千田:ブルドッグやパグのような、頭と鼻の距離が近い「短頭種」は特に体温調節が苦手です。また、犬種を問わず、太っているイヌも注意が必要ですね。保温材を体に巻いているようなものですから。あとは、子犬や老犬。この辺はヒトと同じですね。

すぐ戻るからと買い物時に車の中で待たせてしまったり、締め切った室内に長時間いさせたり、炎天下で屋外に係留し続けたり……極力避けるべきシチュエーションは人と同じです。散歩のあとなどには、氷を入れた冷たいお水を少量飲ませたり、水で絞ったタオルで体を拭いてあげたりするのもいいと思います。

――では熱中症を予防するには、どのような手段が有効なのでしょうか。

千田:屋外で係留するなら植栽などで木陰を作ってあげてください。室内で飼っている方は、室温を28度くらいに保ち、扇風機などで空気の循環をさせてあげるのが重要です。しかし、部屋を冷やしすぎるのも厳禁です。冷気は下にたまりすい性質があり、人間よりも床に近い位置にいるイヌには人間以上に冷気の影響を受けてしまいます。

ペット用のクールマットを導入するのも熱中症の予防としてはよい手段ですが、ケージに敷いてあげる場合は、底面全体を覆わないものにしてください。そうしないと、イヌの体が冷えすぎてしまったときに逃げ場がなくなってしまいますから。これは、冬用の暖房マットにも同じことが言えます。

――熱中症の初期症状としてはどのようなものがあるのでしょう。

千田:体温や心拍数の上昇、口腔粘膜が鮮紅色になる、パンティングで多量のよだれを出すようになる……などがありますが、パンティングの異常は、専門家ではない一般の方はすぐには分からないかもしれませんね……。

おかしいと思ったら、涼しい環境に移動させたり、水道水を体にかける、よく濡れたタオルでくるむ、塩分を含んだ冷水を飲ませるなどして、すぐに体を冷やしてあげてください。初期の症状から1時間以内に対応ができれば、そのまま回復することがほとんどです。水をかけてあげる場合は、氷が入ったような冷水ではなく水道水のような20度程度の水にしてください。冷たすぎると毛細血管が収縮し、かえって体から熱を逃がしづらくなってしまいます。

そしてここからが大切なのですが、もし熱中症の症状が出てしまったら、できるかぎりその日のうちに動物病院で診察を受けさせてあげてください。いったん症状が落ち着いたように見えても、夜中にぶり返してしまうことも多々あります。再び熱中症になってしまうとそのまま死亡してしまうケースも決して少なくありません。夜中に緊急対応できる動物病院も数は限られるので、そうした点でも夜間の再発は非常に危険といえます。

――その他、何年もペットを飼っている人でも見落としがちな注意点はありますか。

千田:夏場は、イヌやネコも代謝が落ちるので太りやすくなります。代謝量の一時的な低下に合わせて食欲も落ちますので、食べなくなる分だけ食事の量を減らしてあげてください。ペットが春や秋に食べる量を100とすると、冬は120、夏は80にする……くらいに考えていただければ結構です。食欲が落ちてもそれで正常ですので、不安に感じなくても大丈夫です。

今、ペットの30%以上が肥満だと言われています。その状態が長く続くと、今度はヘルニアなど関節系の疾患を患いやすくなってしまいますので、食べ残す分は次から減らしてあげてください。人間と同じように「夏バテ防止に精をつけよう」と思うならば、レバーなどのようにビタミンやタンバク質が豊富なものを選んであげてください。口当たりの良いものを食べさせたくなる気持ちも分かりますが、カロリーの高い嗜好品をあげるのもほどほどにしてください。

◆見守れることで飼い主の心境も変化

――スマートフォンの普及により、ペットと飼い主との関係に変化はあったのでしょうか。

千田:以前より多くの方から「家にペットだけ残していく時が心配」という相談をうけていました。そうした思いをもつ飼い主の数そのものは変化していませんが、現在では室内にカメラを置き外出先から様子を確認することもできますし、ペットホテルでも24時間カメラで様子を確認できるサービスを提供している施設もあります。飼い主の悩みは変わらずとも「心配で家から出られない」というようなことは少なくなってきたと感じますね。

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熱中症以外にも夏場に注意すべき疾患は多数あると千田氏は語る。人間と同じ対処が必要なもの、逆に人間と同じ感覚ではダメなこと……千田氏のアドバイスを参考に、暑さをうまくしのぎつつペットとの変わらぬ日々を過ごしたいものだ。

とはいえ、仕事や外せない私用などで、長時間家を空けてしまうことはどうしてもあるはず。そんなときはパナソニックの「屋内スイングカメラ」の導入も視野に入れてみてはどうだろう。

その名の通り、首振り機能がついた屋内用のカメラで、スマートフォンに専用のアプリをインストールすれば外出時でも気軽にペットの様子を確認したり、あらかじめ録音しておいた音声を再生することで、ペットに声をかけたりすることもできる。カメラに温度センサーが付いており、ペットの体調管理に重要である室温を確認できるので、これからの季節にも、熱中症の危険性が高いとされる初秋でも外出先から“見守る”ことができる頼もしいカメラだ。愛しいペットと過ごす日常をしっかりサポートしてくれることだろう。

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