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【明日への扉】大阪浪華錫器 錫器職人 〜 柔らかな輝きと共に 〜

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古くから水や酒を入れると美味しくなると言われてきた器がある。
錫という金属から作られた器、錫器(すずき)。美しさと気品、そして柔らかな輝きがある。

錫と日本人のつながりは、はるか1300年前までさか上る。奈良の正倉院には、錫で出来た薬壷が収められている。当時、金や銀と並ぶ貴重な金属であった錫は、神社の神具として、また華やかな宮中で特権階級の器として使われていた。

錫には他の金属と比べて融点が低く、手で曲げられるほど柔らかいという特徴がある。つまり、錫は加工がしやすい金属なのである。これらの特徴は、その後錫を庶民に広げる一因となり、江戸時代には様々な用途の錫器が売られるようになった。



錫器が広く使われるようになったのは、加工しやすいからだけではない。

錫器で日本酒を温めるとお酒がまろやかになり、味に深みを増すと言われている。
また、長年使用することで独特の重厚感と温かみが生まれるため、一度手にした器を「育てる」と言う使用者もいる。

飲み物を美味しくすると言われ、サビや腐食に強く、保存容器に使えば風味が長持ちする…。そんな錫器は、現在、大阪浪華錫器(おおさかなにわすずき)として国の伝統的工芸品にも指定され、多くの人々の生活に彩りを添えている。

錫器の一大産地・大阪にある大阪錫器は、創業昭和24年。扱う錫器はおよそ600種類だ。5人の伝統工芸士を筆頭に、20代から60代後半までおよそ30人が働く。

後藤竣輔さん(33歳)と後藤里奈さん(32歳)夫婦もまた、大阪錫器の職人として日々研鑽を重ねている。



地元出身の竣輔さんは、高校では野球選手として活躍し、大学では救急救命士を目指して資格も取得した。しかし、選んだのは職人の世界だった。

「小さい頃からものづくりが好きで、医療従事者になって人の役に立てればと思って勉強を始めたんですけど、自分の手作業で、ものづくりでご飯を食べていけるような仕事をしたいっていう思いを捨てきれなかった」と竣輔さんは話す。



こうして飛び込んだ職人の世界で地道に修業を重ね、今では職人歴11年。現在、ろくろや鋳造を手掛けている。



奈良県出身の里奈さんは職人歴7年。大学で陶芸を、そして専門学校で金属工芸を学んだ。現在、中仕事(ちゅうしごと)と呼ばれる加工作業を受け持っている。

夫婦二人で切磋琢磨していく上で、「私が気付けなかった視点で答えてくれたり、他の伝統工芸品も好きなので、そういうのを一緒に見て共感し合えるのがいい」と里奈さんは話す。



いつか人生に寄り添う宝物のような錫器を作る−―。そんな思いを抱きつつ、職人としてさらに上を目指していく竣輔さんと里奈さんの日々を追った。
 

続きは、ディスカバリーチャンネル放送から。


~at home presents明日への扉~

ディスカバリーチャンネルにて毎月第3木曜日 19:30~20:00、再放送は翌々週の日曜日 08:30~09:00に放送中


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Text by Discovery編集部

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